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4) 私にできる、たったひとつのこと

トリコは勇敢ながらも、同時に臆病でもあった。
大[鷲]というだけあって、トリコは[目]を恐れた。
いわゆる害鳥除けの意図でぶら下げられたCDのように、ステージの各所に[目]を模した仕掛けが存在し、私とトリコを阻んだ。
私はその都度[目]を遠ざけ、時にはそれを破戒することで、トリコの恐怖心を取り除いてやる必要があった。


大変のんびりながらも、一歩づつ着実に歩みを進めていく間ずっと、私の傍らにはトリコが、トリコの傍らには私が居た。
私が恐れることを、トリコは恐れない。トリコが恐れることを、私は恐れない。
私とトリコは二人で一つだった。このゲームは、正しくそういうゲームなのだ。
この凸凹とした一人と一匹の、不器用ながらも互いを補完しあう構図に気づき始めたあたりから、
ある感覚が私の中に芽生え始めていた。


あるとき、[目]を模した盾を装備した[鎧]が現れると、トリコは怯えて身じろぎし、その戦闘能力の殆どを失った。
怯えるトリコの背の上で、私は麻痺していた恐怖が怒涛のように蘇ってくるのを感じ、同時にこう思った。 ―――私が何とかしなければ。
思考の猶予を与えられず動揺してはいたが、私は半ば無意識のうちに、トリコの背から勢いよく飛び降りていた。
夢に見てうなされるほど恐ろしかった[鎧]に向かって、私は走り出していた。

大きなトリコの足元で、小さな私は無様に足掻くことしか出来なかった。
しかしそれは囮となって[鎧]を翻弄し、偶然命中した体当たりは[目]の盾を奪うことができた。
私はトリコのために闘い、トリコは私のために闘った。

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