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3) プレイ進行に伴うストレスと麻痺

一人と一匹の冒険はただひたすらに続き、仕掛けの謎解きや操作の困難さに悩まされる度、私はひどくイライラした。
ゲームIQが低すぎるせいも相まって、100人中100人がスムーズに進行できるであろう何でもない場面で、私はいちいち躓いた。
さらに言うと、「自分の力だけでクリアする」という縛りを作ってしまった為に、私にとってゲームの難易度がぐっと上がってしまったのだ。
無数の敵を薙ぎ払う爽快感も、銃で敵の頭をぶっ放す解放感もなく、解り易いストーリーに陶酔できるわけでもなかった。


困難な道中は私にとってストレスでしかなく、何よりも[空の鎧]から向けられる明確な敵意が、私の恐怖と不安を無暗に煽った。
大人になった今でもこの世で最も恐ろしいおじさんは[しまっちゃうおじさん]であると思っている私は、最初に[鎧]に捕まり扉の向こうに仕舞われた夜、その光景を夢に見てうなされた。
言葉なく追い回してくる[鎧]は私を傷つけも殺しもしないのに、[意図不明の呪詛を浴びせられるだけでどうすることもできない]という、このゲームの仕様そのものが、思いのほか私の精神を蝕んだ。
私にとって[鎧]はそれほど不可解で恐ろしく、この上なくストレスで、画面内に[鎧]を捉える度に、コントローラーを握り直し、手汗を拭い、呼吸を整え、ある時は「今日はあいつらに勝てる気がしないからまた明日」と言ってプレイを中断した。


「今日はトリコやらないの?」 「今日はそんな気分じゃない」

プレイしては中断し、日を置いてのんべんだらりと再開し、僅かに進行しては中断する。
行く先々で[鎧]に遭遇し、往く手を阻まれ、その都度に抗い、失敗しては、同じ個所を繰り返しプレイする。
繰り返されるトライアンドエラーの中で、いつしか私は、無力な自分がトリコに守られることに慣れた。
トリコが傍に居ると安心し、トリコが居ないと不安で動けなくなった。
そんな感覚に比例するように、「トリコさえいれば何とでもなる」と、[鎧]に対する恐怖心は薄れていった。


ある時から私はトリコに[指示]が出せるようになったが、私自身の戦闘能力もといゲームプレイ能力が向上したわけではない。
幾度となく失敗を繰り返しながら、ある時はトリコの背から壁をつたい、ある時はトリコの背に乗り塔から塔へ飛び移り、ある時はトリコの尻尾に掴まって、どこかを目指した。
一人と一匹は彷徨いながらも、まるでそれが本能であるかのように、ただひたすらに上を目指していた。


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