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2) ゲームIQの低すぎる私、何もできない私

プレイ開始から暫く、これといった感情の揺さぶりも昂ぶりも得ることが出来ず、画面は荘厳かつ幻想的で美しくはあるが、ただそれだけ…
静寂の中に一人と一匹が取り残され、忘れ去られたような無機物と有機物が混在する世界を当所なく彷徨うだけの、そんなゲーム…


そう思っていたが、私はいつしか、
少年を「私」と呼び、大鷲を「私のトリコ」と呼んだ。


このゲームで私は、あらゆる一切の武器を持つことができなかった。
アイテムボックスは存在しない。銃はなく、剣もなく、ケアルは使えず、グミもマーボーカレーも無かった。
ゲーム進行のために私ができることといえば、トリコを呼ぶ、トリコを撫でる、トリコの背に乗る、たったこれだけである。
一人と一匹で美しいステージを彷徨うだけなら、きっとこれだけでも事足りただろう。
しかしこのゲームには、私とトリコに向けられる明らかな敵意というものが存在し、私とトリコはそれに抗う必要があった。


[中身のない空の鎧]という形で登場するその敵意は、言葉もなく執拗に私を追い回し、謎の呪詛を浴びせ続けた。
[鎧]に捕えられると怪しい扉の向こうに仕舞われてゲームオーバーとなるが、怪我をするわけでも死ぬわけでもなく、ただ、それだけだ。
この[鎧]が傷つけるのはあくまでもトリコのみであって、最初から最後まで、トリコは私のためだけに傷ついた。
ゲームオーバーになる度に、私は私の中の呪いが深くなっていくような、業が深くなっていくような、そういった恐怖を覚えた。


トリコが私のために怪我をする度に、私の口からは「ごめんね。」と言葉が漏れ、トリコの身体から槍を引き抜き、その身体を撫でてやった。
そうしてやると、乱れた毛並みは整い、傷は治癒していくように見えた。
私はせめて、トリコの身体をいつもきれいに、たったひとつの血の痕も残さずにいてやろうと、そう思った。

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